うさとぶーの物語♯20「うさはダイエットがしたい。」

この記事は短編小説です。

前回のおはなしはこちらになります。

うさとぶーの物語♯19「ぶーはお世話係。」

買い出し。

お昼が過ぎた午後。

taka家では昼食を終えたところだった。

うさ
うさ

きょうのごはんも美味しかったんだよー

うさぎの「うさ」は今日のお昼ごはんに食べた、さばの味噌煮がとても美味しかったみたい。

「さば」を前日から仕込んでおいた甲斐があった。

とても柔らかく仕上がっていて、さばの骨まで食べれるくらいだった。

taka
taka

美味しかった?

お魚は体に良いからね。

うさ
うさ

美味しいのに体にも良いなんてすごいんだよー。

わたし達は台所で洗い物をしていた。

うさの背丈はわたしの腰からおなかぐらいなので踏み台を使用して洗い物を手伝ってくれている。

taka
taka

洗い物終わったら、買い物に行こうと思っているんだけど。

うさはなんか欲しいものある?

うさ
うさ

おかいものー?

うさも行くんだよー。

taka
taka

うさもくる?

じゃあ、ぶーも連れて行こうか。

・・・。

でも旦那はうるさいから置いていこうと思うんだよね。

うさ
うさ

だんなはケチなんだよー。

旦那を買い物に連れて行くと、ケチなもんだからなんでも口を出してくる。

冷蔵庫の管理と日頃の料理はわたしがしているのだからほっておいてほしいものだ。

・・・

とはいえ、旦那を留守番させると冷蔵庫を開けてつまみ食いをし始める。

・・・厄介な存在なのだ。

ちなみに旦那は昼食後に2階で作業をしているようだった。

わたしとうさが買い物にいくのに旦那をどうしようか、

そんな話をしていたら・・・

ぶー
ぶー

ぶーがだんなといっしょにお留守番するんだよー。

taka
taka

え、ぶー、お留守番してくれるの?

なんとぶたの「ぶー」がお留守番をしてくれるようだった。

しかも旦那の面倒まで見てくれる、と。

ぶー
ぶー

ぶーがだんなの面倒をみるんだよー!

ぶーはやる気になっていた。

うさもぶーも一生懸命にわたしのお手伝いをしようとしてくれている。

居候だから?

それともわたしのことを気遣ってくれているんだろうか。

ふたりが手伝ってくれることがとてもうれしい。

・・・

taka
taka

ありがとうね、ぶー。

わたしはぶーに甘えてうさと一緒に買い物に出掛けることにした。

うさ
うさ

ぶーにチョコ、買ってくるからねー!

taka
taka

いってくるねー。

ぶー
ぶー

いってらっしゃいなんだよー。

道中。

とても天気の良い午後。

わたしとうさはスーパーまで徒歩で向かっていた。

うさはわたしの隣をてちてちと歩いている。

土手沿いではジョギングしている人。自転車を漕いでいる人。様々な人が行き交っていた。

スーパーまでは約1キロぐらい。

歩いていくと20分ちょっとの距離だから近くはないかもしれない。

わたしはいつも「ウォーキング」がてら歩いてスーパーに向かうことにしている。

うさ
うさ

takaはいつも歩いてスーパーに行ってるんだよー。

taka
taka

歩くと気分転換になるし運動にもなるからね。

ダイエットに良いんだよ。

うさ
うさ

ダイエットに良いのー?

ダイエットするとどうなるのー?

taka
taka

ダイエットするとね、ココロもカラダも健康になって、自分がキレイになっていくんだよ。

うさ
うさ

キレイになるのー?

taka
taka

そうだよー、女の子はみんなきれいになることを夢見るものなんだよ。

うさ
うさ

うさもキレイになるんだよー!

taka
taka

ふふ、そうだね。

わたしたちはそんなことを話しながら歩いて行った。

スーパーにて。

わたしとうさはスーパーに着いた。

入り口でカートとカゴを取ってスーパーに入っていく。

まずは野菜コーナーから取っていこう。

キノコ類も忘れないようにしなければ。

・・・

わたしはいつもスマホに何を買うかチェックしてからスーパーに来ることにしている。

買い忘れると後悔してしまい、自分をひどく責めてしまうから。

なるべく、そうならないように買うものリストを作っておく。

まあ、それでも買い忘れはゼロにはならないんだけど・・・。

カートを押しながら欲しいものを取ってカゴに入れていく。

すると・・・

となりに見覚えのある人物がいた。

ご近所さん
ご近所さん

あら、takaさん!

お元気ー?

ご近所さんだった。

(名前は正直、曖昧で覚えていない)

嫌いではないのだが、話すのは苦手。

taka
taka

あ、こんにちは。

おかげさまで元気にやってます。

ご近所さん
ご近所さん

そーお?

ちょっと痩せたんじゃない??

ちゃんと食べてる?

taka
taka

あ、はい・・・。

食べてます。

ご近所さん
ご近所さん

ちゃんと食べないとだめよー!

若い子はねえ、痩せすぎなのよー!

taka
taka

は、はあ・・・。

と、ご近所さんは言いたいだけ言って去っていった。

・・・

苦手だ。

わたしのとなりでうさがちょこんと立ってわたしのことを見ていた。

taka
taka

あ、ごめんね。

うさ。

待ってたね。

うさ
うさ

takaはいっぱい頑張ってるんだよー。

だからうさはお手伝いするんだよー。

・・・

ありがとう、うさ。

うさはダイエットがしたい。

スーパーで買い物を終えたわたしたちはすこし遠回りして帰ることにした。

こうすることで少し歩数を稼げると思ったから。

公園の脇を通って帰る。

ビニールの袋を2つ。

わたしが1つ持って、うさが軽いほうの袋を1つ持ってくれている。

うさはわたしのとなりをてちてち歩いてると。

うさ
うさ

うさもね、ダイエットするんだよー。

うさはわたしにそう言ってきた。

taka
taka

そうなの?

ダイエットに興味あるんだね。

うさ
うさ

うん。

うさもキレイになりたいんだよー。

takaといっしょに。

taka
taka

うさ・・・。

どうしてこの時にうさがそう言ったのかは分からない。

うさは優しく言ってくれた。

ほんとうにダイエットに興味があったのか。

でも、気持ちがすごく軽くて心地いい。

外に出ること。

ひとりで行く寂しさや、今日のように会いたくない人に会ってしまう恐怖があった。

この帰り道もひとりで歩いていくのが辛いこともあった。

今はその恐怖や寂しさが無い。

わたしたちは気持ちの良い風を感じながら歩いていく。

ひとりで歩いて帰った時とは違う。

優しい、暖かさを感じながら。

つづく。

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